東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)29号・昭37年(行ナ)30号 判決
一 特許庁における手続経過、本件実用新案の考案の要旨および本件審決の内容に関する原告請求原因一から三記載の事実は被告らも認めるところである。
二 そこで本件審決が引例として挙げた米国特許第二二七八八六〇号明細書抜萃(オフイシヤルガゼツト)に記載された技術内容等についてみるに、その成立に争いのない乙第一号証の一、二の各記載によれば、右文書の原本は昭和二十三年十二月二十七日わが国特許庁の万国工業所有権資料館に受け入れられたものであつて、その請求範囲に記載されたところは、
「横に張りわたされたコイル状針金を列設して金網の主体部分を形成し、そのコイル状針金の両端部分は、前記金網によつて作られた平面の一方の側に屈曲し、立ち上つている縁フランジを形成し、右主体部分において前記コイル状針金を相互に連結するよう、横に張りわたされた軸針金は、主体部分に屈撓性を与えるとともに、その一端は主体部分内において終るが、その他端はフランジ内において終り、これによつて一体となつた針金のうず巻の屈曲した先端部分において、金網が屈撓するにつれて、前記縁フランジが長手方向に変化でき、相対的な動きに対して自由に応じうるようにした屈撓性金網」
であると認められ、その図面に記載されたところには、側面部の記載はあるが、平面部に関する記載は見当らないことは原告指摘の通りであるけれども、この側面部に関する図面の記載とさきの請求範囲に関する記載とを併せてみるときは、図面は縁付き金網の側面図であり、図面のうち符号(M)の示す部分が金網の平面部分に当り、符号(m)の示す部分が金網の平面の一側に屈曲している端部分すなわち立ち上つている縁フランジに当り、符号(13)の示す部分が軸針金に当つていること、そして左巻きの二重コイル状針金に軸針金(13)と倒U字状針金(U)の左脚部とが挿通され、右巻きの二重コイル状針金に軸針金(13)と倒U字状針金(U)の右脚部とが挿通され、軸針金(13)が共通的に挿通され、倒U字状針金(U)の両脚部がそれぞれ左巻きおよび右巻きの各二重コイル状針金をまたぐ状態でその内部に上方から挿入され、左巻きおよび右巻きの二重コイル状針金は順次相互に入り組み、かつ離合自在になつていること、さらに、軸針金(13)のうち図面の上方の符号(13)で示されているものは、金網のフランジ(m)で一端が終つているもの(ただし、同じものであつても符号(13)が付されていないものもある。)、下方の符号(13)で示されているものの円形で画かれたものは軸針金(13)の端面であつて、その一端が金網の主体部分で終つている軸針金であること、したがつて、金網のフランジ(m)で一端が終つているものと、主体部分で一端が終つているものとが、一本おきに交互に配置されていること(なお、図面中前記フランジ(m)で一端が終つている軸針金(13)および倒U字状針金(U)の両脚部の各下方部に示されている陰線はその部分で屈曲していることを示すものといえる。)が示されていることが認められ、したがつて、引例に記載されたものは、本件実用新案の「側縁(2)(2)内に連なる連綴用緯線条(3)(4)のうちの(4)の先端を前後一本または数本おきに連綴用緯線条(3)(3)の先端屈曲部(3)′(3)′より短かくした」構成を具えているものであり、また、右(3)′(3)′より短かくした緯線条(4)の先端の状態も、その平面部(引用例のものの主体部分)についての絡合構成も、右請求範囲の記載と図面からすれば、当業者ならば容易にそれを知りうる程度のものと認められる。
三 従つて原告が本件審決を違法とする事由はこれを認めるに由がなく、結局、その取消を求める原告の請求は理由がない。